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The SPOT 感想③

● うるうびと

いやな話です。色々と考えさせられる話ではありますが。
観た後、まるで自分が助けを求める声も聞こえぬ深い深い穴の底に居るような重苦しい気分にさせられます。

人を呪わば穴二つ。自業自得と言えばそれまでだけど、それだけでは片付けられないんですよね。
こうなったのには、ずっとはみ出し者にされ続けてきた彼の運の悪さもあるわけだし。
 
彼が土で作った家族や友達が崩れて呆然とするシーン、何度観ても悲しくなります。
 
50音を余らせずに文章を作れたからといって何の解決にもならないので、現実逃避
をしているようにしか見えません。
 
その後彼は一体どうなったのか。
死んだのか
一坪王国の王様になったのか
穴から出たのか
それとも自分がヨイチになる夢でも見たか

私が最初に想像したのは、絵を食べて絵と同化してしまった阿部公房の小説の主人公のように、土のハンバーグやおはぎを食べて土と同化するうるう人の姿でした。
救われないなあ。

うるう人が2月29日生まれの女性に優しい言葉を掛けてもらって舞い上がり、ピンクと緑のリボンを振り回すのは笑えるのですが、2回目以降に見るととても複雑な気持ちになります。

誰とでもすぐ親しくなれないから、ちょっと仲良くなると過剰な期待をして、依存して、勝手に自分の理想像を押し付けて、相手がそれと少しでも違うことをすると、こんな人だとは思わなかったと傷付く。
10代の頃の私もこんな感じでした。
だからこそ、この物語が他人事とは思えないんですよね。
  
「やめさせないと」のつるちゃんのルームメイトも同じタイプですね。
彼は自分とつるちゃんは同じだと信じていたけれど、実際にはそうではありませんでした。
つるちゃんは彼が思うよりずっと社交的な人でした。

うるう人も2月29日生まれの女性のことを自分と同じだと思っていたんでしょうね。
同じだから自分のことを何でも分かってくれる。100パーセント分かり合える。
自分達は特別な存在だと。

でも、それはうるう人だけが思っていたことだったのでしょう。
彼は彼女を自分と同じだと思っていたので、おそらく自分の意思を伝える努力も、
彼女の気持ちを聞く努力もしなかったのでしょう。ただ自分の中で作り上げた幸せ
な幻想に浸っていただけ。
それじゃあ、ああいう結果になっても仕方のないことなんですよね。
あ"ーー、もう!書いてて痛いわ……。
 
彼女は他の男と結婚した。
 僕みたいな男じゃなくて、よりによってあんな普通の男と。
 彼女がそんな男と付き合っているなんて知りもしなかった。
 裏切られた。
 ──結局、僕が余るんじゃないか。
 結局、彼女はこっち側の人間じゃなかったんだ。
 じゃあ、普通って何?
 普通じゃないって何?
 分からない…。
 やっぱり僕は特別なんかじゃない。
 ただの余り一だ。
 誰からも必要とされない、余分な存在だ。
 なんでいつもいつも僕ばかりこんな目に遭うんだ。
 
 
 ………そうだ、誰かが一人いなくなれば、僕は余らなくなる。

 
彼の心理状態はこんな感じでしょうか。
ネガティブ過ぎます。気持ちは分からなくはないですけど。

うるう人が暗い方へ暗い方へと自己完結していくシーン、
観ていて息が詰まりそうになりました。
 
誰かを自分の代わりに不幸にしなければとても自我を保っていられないほど、
彼は追い詰められてしまったのでしょう。
そしてとうとう、どこにも行き場のない感情が彼の中で膨れ上がり、発酵して吹き出し、
自分以外へと向かってしまいました。
 
何か他に彼の鬱屈した感情を発散できる方法があったら、
或いは誰か彼に声を掛けてくれる人、話を聞いてくれる人が居たら、
結果は違っていたのでしょうか。

ヨイチも自分以外の人を消そうと思いはしたけれど、実際には行動に移さなかった。
うるう人は実際に行動に移してしまった。
そこがヨイチとの些細かもしれないけれど決定的な違いですね。
 
行動に移しても彼は救われず、結果的に自分で自分を社会から消すことになってしまった。
何とも皮肉な結末です。

● 大きなおみやげ
 
アジア諸国漫遊から帰って来た王様がお土産を並べて物産展を開こうとします。
今までのコントで出てきた小道具が再登場。
小道具を並べている時点で、何ができるのかは想像できますね。
小林賢太郎テレビを観た後だと二番煎じに見えるっちゃあ見える。
それでも、壁に大きな象の影が浮かび上がると、ぞわっと来るものはありました。
同じひとりぼっちでもうるう人と違って王様は結構楽しそうですね。
外に出て好きなことをしているからかな。ポジティブです。
 
王様が一番欲しがっていた象は実際にはお土産の影でしかないのですが、
これでいい…のか?
…まあ、王様が喜んでいるんだから、これでいいのでしょうね、多分。
 
 

 
全体的に面白かったけど、もうちょっと新しいことやって欲しいな、と思いました。
(怪獣のお医者さんとうるう人は除く)
期待しているからこそ、そう思ってしまうのでしょうが。

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