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ボンボヤージ 【裏】

………アラ…お届け物かしら…白玉は此処には居りませんわよ。ズット戻って参りませんの。…妾(わたし)は白玉の客よ。あの人を待っているうちに何となくこの部屋に住み着いてしまいましたの…。

妾、貴方を見たことがあるわ…こないだテレビに出てたでしょう。……マア何…思わせぶりなこと云って……おかしな虫ねエ。……エ?虫じゃない?……フフフ……ますます変わってるわ…。お酒はお好きかしら?ウヰスキーがありますのよ……遠慮なさらないで…此処に来られる方は少ないの。だから、来てくだすったらもてなしたいのよ……ハイ、曹達割りね…かしこまりました…。

…これはもともと妾の手土産ですわ。手ぶらで来るのも悪いかと思って持って参りましたの……いいのよ。キッチンの隅ッコに同じ銘柄の空き瓶がコンナにたくさん並んでるんですもの。白玉には違う銘柄のをあげた方が喜ぶでしょう。

ハイッ…グッとどうぞ……ホホ…いい飲みっぷりだこと…。妾も頂くわ……フゥ…美味しい…。白玉はいつ戻って来るのかしらねエ……もう三日前から待ってるのか三十年以上待ってるのかも分からなくなってきたのよ……。此処に住んでいるとね、よく白玉と勘違いされるんですの……ホホ…。モウ間違われるたんびに白玉じゃないって否定するのもアレだから、とりあえず妾が白玉ってことにしてしまおうかって考えてますのよ…イエ…既に何回かそうしたこともあったかしら……。

近頃じゃア、この辺りの様子もスッカリ変わったわよねエ…あっちから色ンなものが流れ込んできて、日本と海外の境目が曖昧になるどころの話じゃアなくなってきて、貴方みたいなのをよく見かけるようになったわ…。マア、妾も此処に居れば妖怪と大した違いはないのよね…多分…。

……この部屋はいいわよ…まるで誂えたように妾に馴染みますの。アンマリ居心地がいいもんだから、ズット此処に住んでいるような気さえしてくる位よ…。だけど、時折妙な視線を感じて……今もそうね、あすこから見張られてるわ。…気の所為だとお思いになって…?妾、おかしくなってしまったのかしら………マア、ホントに?貴方も感じるのね…よかった……。でも、視線の正体が何なのか分からなければ、何の解決にもならないんだわ……。

ねエ…それはどうなさるの?差出人に返すのかしら。妾が本人の代わりに受け取っても構わないなら受け取りますけど……エ…違うの?妾宛……。

……これを白玉から?……手紙、それから……切符…。

…………フフフ…其処が世界の果てなのかしら……アア…そろそろ時間だわ……。行かないと。


真ん中は何処だと思いつつ
クルクル回る螺旋の中で
渦巻きねじれる僕ら
シーッと言われ 言葉をなくす比喩
世界が混ざり合うその瞬間
誰もが此処にいて誰もが此処に居ない

にち
うご
じゆ
がつ
しち


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「P+」の構造をちょこっと借りて、あちらから一匹お招きして書いてみました。
「P」の海外公演の前に書いた記事、「ボンボヤージ」http://kunluntea1234.hatenablog.com/entry/20120407/1333795248
の続編のようなものです。あれが昼ならこれは夜のイメージ。またもや久作風です。私が書いたらあんまり色っぽくならなかったけど…山の手言葉もたまにはいいものですね。手紙の文章を漫画の読み方で両端の音を拾って反転させると何かが分かるかも。