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ローズ・イン・タイドランド

ローズ・イン・タイドランド [DVD]

ローズ・イン・タイドランド [DVD]

テリー・ギリアム監督の映画「ローズ・イン・タイドランド」を先週の日曜日に観ました。少女の空想の迷宮。かなり毒々しいおとぎ話です。ギリアム監督の真骨頂といった感じ。やりたい放題です。

注目すべきは主人公のジェライザ=ローズを演じるジョデル・フェルランドの可愛らしさ。お人形さんのようです。口紅やアイラインがはみ出しまくってても、子供なりのめちゃくちゃなお洒落をしていても可愛い。それでいて、時々その辺の成人女性以上に女の一面を覗かせるんですよね。それが妙に色っぽいんだな。そのテの趣味の男性にはたまらないものがあるんじゃないかと思いました。肌と目がうるうるしていて、か弱くて、無垢だけど色っぽくて、時には自分をリードしてくれる。理想的でしょう。

10歳のジェライザ=ローズの両親はドラッグ中毒。父親は元ロッカー。彼の法被にプリントされたひらがなの「ことぶき」に思わず吹き出してしまいました(笑)母親はいつもベッドの上でダラダラしています。両親に適当に育てられ、両親のクスリの準備をさせられるローズ。友達の居ない彼女の遊び相手は指にはめた4つの人形の首だけです。「となりのトトロ」のトトロはサツキとメイの寂しさが見せた幻影だという説があるらしいのですが、この人形の首もそういうことなのでしょうね。空想上のお友達です。4つの人形の首はみんな性格が違っていて、私には彼女の心の一部をそれぞれが反映しているように見えました。

ある日母親がドラッグの過剰摂取で亡くなり、父親はローズを連れて故郷へと旅立ちます。辿り着いたのは見渡す限りの黄金の草原。その中にポツネンと佇む祖母の家は廃屋も同然。祖母はとっくに他界していました。ここで父親とローズの新生活が始まるのですが、父親はすぐにドラッグでヴァケーションに出かけたまま帰って来なくなります。天涯孤独の身となったローズは、父親の死体と共に暮らし始めます。人形の首達を話し相手に、ピーナッツバターを舐めて飢えをしのぎながら。彼女は黄金の草原を誰にも邪魔されずに優雅に無邪気に遊び回るのです。

頼れそうなのは隣家の姉弟だけ。でも、二人ともマトモじゃありません。
姉のデルは片目を蜂に刺されて失明している黒ずくめの幽霊女。
弟のディケンズは頭に手術をした傷が残っていて、精神年齢はローズと同じくらい。
草原を海、自分のことを潜水艦の船長と思っています。

昔ローズの父親と恋愛関係にあったデルは、父親の死体を見つけるとそれを剥製にしてしまいます。
その後、デルとディケンズとローズの3人で祖母の家のリフォームと掃除を始めます。見違える程綺麗になった家で、みんなで食べるデルの手作りの料理とお菓子。おそらくローズにとって初めてのマトモな食事だったんじゃないでしょうか。自分の父親を剥製にした恐ろしい女とその弟との食事。そこには剥製になった父親も同席しています。なのに、ローズはなんだかとっても嬉しそう。常識的倫理的に考えたらイカレてるとしか思えないことですが、いつまでもこの生活が続くのならそれはそれで幸せなんじゃないかって思えてしまったんですよね…。うーん、観ているうちにこちらの感覚までおかしくなってましたよ。アブナイアブナイ…。

ディケンズとローズは恋に落ちます。お互いに自分の夢を相手に当てはめようとしているので、微妙に噛み合っていないように見えますが、二人は真剣です。ディケンズと一緒にいる時のローズは女そのもの。この年齢で自分の魅力を分かってるんですよね。ディケンズの家に彼の宝物を教えてもらいに行くローズ。花嫁のような格好をした彼女は妖精のようです。ディケンズと二人っきりになった彼女は可愛く彼に甘え、甘えさせ、キスをします。うわあ…ヽ(´Д`;)ノ日本よりもずっとロリコンに厳しいアメリカがよくこの映画の公開を許したなあ。ディケンズの心が子供だからOKなのか?

ディケンズの宝物はダイナマイトでした。それを隠してある部屋には、彼ら姉弟の母親の剥製が寝かされています。二人が母親の剥製のある部屋に居ることに気づいて怒り狂うデル。パニックに陥りてんかんの発作を起こしたディケンズを見捨ててローズは逃げ出します。

やっとの思いで家に逃げ帰ったローズ。外では列車の爆発事故。犯人はディケンズでしょうね。ローズと新しい世界を作るために線路にダイナマイトを置いたのでしょう。子供ならではの無垢な願い。ローズとディケンズが夢見ていた世界は実際には悲惨なものでした。

現場にはデルもディケンズも居ましたが、ローズはデルに向かって汚い言葉を吐き捨て、ディケンズのことを無視します。親切そうな中年女性に声をかけられ、この女性に引き取られるのかな…というところで話は終わります。

みんな私のお友達なの…というローズの台詞の悲しいこと。
自分に言い聞かせているようなその言葉には以前のような力がありません。

彼女は悲惨な現実に全く気付いていないわけではなかったと思います。
彼女の空想は現実を生き抜いていくために必要なことだったのでしょう。だから、彼女が見たくないものを見ないようにしているからといって、それを責める気にはなれませんでした。彼女は必死にごっこ遊びをしていただけなのかもしれません。

あの女性に引き取られることになったら、彼女は普通の生活に適応できるのでしょうか。
私は案外適応できるかもしれないと思いました。少女は逞しく残酷だ。そして、どんなに幼くても女な人は女だねえ。。