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君の名は

11月4日に須崎公園へ劇団どくんごの「君の名は」を観に行きました。
夜の須崎公園に紫やオレンジの光と共に浮かび上がるテント。その近くには派手な舞台衣装を着て濃いメイクをして立っている役者さん数名。怪しい…。完全にテントのある辺りだけ別世界でした。

受付を済ませてテントに入ると、まず目に飛び込んできたのが木製のひな壇状の客席。それから端から端まで大股で4,5歩程度の小さな舞台。天井には運動会のような昭和のビアガーデンのような飾り。舞台の奥には紐に金具を通して張られた背景の幕。舞台前には物販が縁日のように並べられていました。村祭りの出し物を観に来たような感覚。テントの外に銀木犀の花が咲いていて、客席にまでその香りが漂ってくるのがなんとも風情がありました。

オープニングとエンディングに役者さん達による生演奏の音楽。昭和の歌謡曲風で、バンジョーカホン、ベース、アコーディオンの演奏が賑やかでおもちゃっぽくて好みでした。歌も上手かったです。セットや小道具や衣装は役者さん達の手作り。

切れ切れの短い話をランダムに演じる形式。連作のようになっている話もあるし、そうでもなさそうな話もありました。音響や照明、大道具などの専門のスタッフは居なくて、役者さん達が自分の出番じゃない時に協力しながらやるという感じでした。

ドラクエのようにパーティを組んだ勇者達が冒険をする話。勇者は○○に出会った!勇者は○○をした!○○は○○ポイントのダメージを受けた!というふうに4人くらいで代わる代わるゲームを進めていきます。

おんぼろの小船を漕いで兄を探す少年。「アニキ〜!!」少年は新しい船を作るために貯めていたお金を兄貴に取られてしまったのです。彼は鯨に飲み込まれたり、大嵐に巻き込まれたりしながらも元気に海を渡ります。

雨雲に割り箸を突き刺して綿飴のように食べてしまった男の体の中で雨が降ります。困った男は、雨宿りをしていた角砂糖の羊をシーソーを使って紅茶の入ったグラスに飛び込ませます。最後は何と火の輪くぐりに挑戦。男が紅茶の中の6匹の羊をぐるぐるとスプーンで溶かし、ぐぐっと飲み干すと、雨は止みました。甘そう…(´Д`;)この作品の中で一番綺麗で幻想的な話かも。

他人の手紙を読むのが趣味の男。手紙に関するレクチャーをしているのですが、他人の手紙の数々が混在する内容なので意味不明です。

かなり大雑把なクッキングショー。司会の女性が視聴者の女子高生からの手紙を読んでいると、先程の他人の手紙を読む趣味を持つ男が現れます。煮込みハンバーグを作るのにスーパーで売られている焼くだけで完成する生のハンバーグを使い、それに何故か刻んだ玉ねぎなどを混ぜ、大量のケチャップで煮込んでました。

粗忽長屋。溺れ死んだ男は、死体が自分自身だと気づき、ボロボロ泣き出します。お気に入りの縮緬のシャツが〜゚(゚´Д`゚)゚

ガムテープで顔をぐるぐる巻きにした男が舞台に登場します。彼は逃げてしまった自分を探しています。客席に乱入し、観客に自分に対して何か言うように促します。お客さんの一人が馬鹿って言うと、ガムテープ男は馬鹿って言うなとかゴニョゴニョ言い返します。それから舞台に戻りパイプ椅子と格闘し、顔のガムテープを解いて頭のような形にします。それから何事もなかったかのようにパイプ椅子を持って退場…(゜д゜)

港で逢引をする男女。外国人の男は船に乗る少年を演じていた五月うかさんが上半身に被り物を着て演じていました。この男の顔が能面のようで不気味でした。「半年後にまた会いましょう」という叶わぬ約束。女が男に名前を尋ねると、男が名前を告げる前に警報が鳴り、二人は離れ離れに。名前は分からずじまいです。

女装をした男がゴジラが街を破壊する絵を背景に登場。男は自分の意志とは関係なく突然巨大化してしまったのでしょうか。自分がそこに居ることに戸惑っているようにも見えました。場違い感が半端じゃありませんでした。

怪しげな行商人は、登場するといきなり持っていた袋を親の仇のように踏んづけます。彼が客に勧める商品は大さじ、小さじ、少々のスプーンのセットと歯ブラシ。行商人は自分とはとても遠い縁の人が言ったことを根拠に商品を売りつけようとしますが、警察の来る気配を感じるとさっさと逃げ出します。

覚えてる?日記を見ないで。覚えてる?カレンダーを見ないで。覚えてる?手帳を見ないで。覚えてる?スマホをいじらないで…このような台詞を一人で繰り返し言い続ける石田みやさん。声がハスキーで、存在感があって、惹き込まれました。若いのに台詞回しが上手かったです。過去って一体何なんでしょうね。

少年が大事に大事にしていた綺麗な玉が、どんどん汚れて大きくなり、彼を脅かすようになります。悪夢のようで怖い。これも過去っていうか、思い出のことを表していたのかなあ。

僕は鯨と友達!僕は空と友達!隣の人と友達の自慢をし合うたびに、友達のスケールはどんどん大きくなっていきます。ちょっとラーメンズの読書対決っぽいかも。

僕の見る夢は僕しか知らない。君の見る夢は君しか知らない。たくさんのよしおくんはそれぞれの夢を持っている。いじめられていても、一人ぼっちじゃない。一人が言った言葉を複数の人が復唱することで畳み掛けるようにこちらに投げかけられる言葉に心を動かされました。

この作品に出てくる数々の話はよしおくん達の夢なんでしょうか。この作品の名もなき登場人物達の存在はみんな危ういです。ここに座ってる私は本当に私なのかしら。どっかに私を落っことしてやいないか。観ている間中ずっとそんなことばかり考えて、そわそわと落ち着かない気持ちでいました。

背景の幕がある時は角砂糖で火の輪くぐりをしたり、たらいに船を浮かべてそこに嵐を作ったりとミニマルな表現が活きる世界。それが幕を取っ払った途端に拡大し、公園もビルも車も通行人も舞台の一部にしてしまう。公園を駆け回り、火花を散らし、踊る役者さん達によって、舞台と外の境目がなくなっていく。テントをトラックに積み込み、どこへでも作品を届けに行ける。伸縮自在で神出鬼没。テントって凄い(・∀・)立派な劇場でやったり、お金をかけたりすりゃいいってもんじゃないというのをはっきりと分からせてもらいました。伊達に30年やってませんね。30年やってるのに全然古臭くなかったのも凄い。

先週拍手ボタンを押して頂きました。ありがとうございましたm(_ _)m