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振り子とチーズケーキ①うろんな彼女

振り子とチーズケーキを観てきたので、レポを書きました。
ネタバレしていますので、未見の方はご注意ください。






赤・緑色・黄色・灰色のカラフルな舞台装置。丸・三角・四角を組み合わせた単純な形で作られていて積み木のようでした。一つのものが見立て方次第で何通りもの役割をするところが、今回の作品のテーマに合致していると思いました。

上手には、扉の付いた個室と一切れのチーズケーキのような形の黄色い物体(ベンチ・キーボード・坂・上にくる面を変えることで視点が変わるのを表現)。
下手には、コンビニを限界まで再現した冷蔵庫。その奥に丸い輪っかの振り子が吊り下げられています。
真ん中には、ドーナツのような赤い輪。その輪の中に緑の円筒。その奥に木枠でできたはしご付きの建物(一切れのチーズケーキのような形をしている)。


赤い輪の上に立ったスナフキンのような格好をした男(賢太郎さん)が、次のようなことを語り始めます。

明日は雨になると聞き、ある人は喜び、ある人は悲しんだ。
ずっと晴れの日が続いていた農家の人は喜び、次の日が運動会の人は悲しんだ。
立場によって感じ方は違う。

ある人はそれを怖そうだと言い、ある人はそれを高そうだと言った。二人が見ていたのはワニ。ちなみにワニは二人を見て美味そうだと思った。

ある人は正方形と言い、ある人は長方形と言い、ある人は三角だと言った。
3人が見ていたのはひと切れのチーズケーキ。見る方向によって全く違って見える。この中にレーズンが入っているか否かを論点とした場合、優先されるのは横からの視点。しかし、美味しいかどうかを論点とした場合、誰も間違えていないし、誰も嘘をついていない。錯覚による錯覚、その客観性について…。

その後、紺のエプロンを着た主人公(竹井さん)が登場。スナフキンのような男(同じく名前が分からないので冒険者と呼ぶことにします)は彼は彼であり、私でもあると言います。彼は主人公の周りをチョロチョロし、あれこれ言うのですが、この段階ではその存在を主人公に認識されてはいません。

主人公は図書館の職員。彼は職場と自宅を振り子のように往復するだけの毎日を送っていて、半径250メートルの中で暮らしています。お客さんにブラジルの旅行ガイドブックはないかと聞かれ、「本場のボサノバを聴きに行くんですか、いいですね〜(本当はいいと思っていない:冒険者談)」などと適当な会話をした後に探しに行きますが、それは貸し出し中でした。その後、主人公は読書感想文用の本を探しに来た子供に色々な冒険小説を紹介します。80日間世界一周を読みたいと言う子供に対し、主人公は貸し出し中と言います。それは嘘で、実はその本は主人公が借りていたのです。彼は冒険小説が大好きで、冒険小説のような冒険をすることに憧れているのです。

休憩時間に図書館前の公園に来た主人公は、太極拳のような図書館体操を始めます。
賢太郎さん、体操好きだなあ…。
検索・貸し出し・返却・収納!
冒険者の言ってることに合わせて身体を動かす主人公がナイス!ラーメンズの片方が喋ってもう片方がそれに合わせて動くコントの数々(「バースデイ」とか)を思い出しました。仁さんがやるのとはまた違った面白さがありました。
彼は休憩中にベンチでコーヒーを飲みながら読書をしようと思って公園に来ました。これは図書館の中ではできないことですからね。彼はコーヒーが苦手で、でもコーヒーを飲むことに憧れがあるので、砂糖とミルクをコーヒーの味が分からないくらいたっぷり入れて、ざまあみろ!と思いながら飲みます(^_^;)彼が読もうとしているのは岩波版ではなく小学館版の80日間世界一周です。この小説はもう何周したか分からないくらい読んでいると主人公は言います。

ふとベンチに花柄のノートが一冊置き忘れられているのに気付く主人公。そのノートは見るからに女物です。主人公は他人のプライバシーを知って興奮するような男に見られては大変、俺が彼女を守らなくては!と決意し、ノートに職場の名前などが書いてないか調べようとして中を開きます。それはどうやら日記のようです。

そこへ常連の男子高校生が通りかかります。受験生である彼に優しい言葉をかけ、年末の餅つき大会に誘います。花柄のノートは男子高校生のものではありませんでした。

次に女の人が主人公に声をかけます。びびり、緊張する主人公。女の人は主人公に本の返却について質問します。それに主人公が答えると、彼女は去って行きました。彼女が去った途端にくじろうちゃんのような喋り方になる冒険者(笑)「なんだよー、女とかいってわけわかんねー」さっきの男子高校生の時とえらい違いだwどうして彼女が主人公が職員だと気づいたかというと、主人公がエプロンをしたままだから。彼はジャンパーのファスナーを閉めてエプロンを隠そうとしますが、裾がはみ出しています。「エプしか隠れていない。ロンが出ている。」エプロンの裾をジャンパーにしまってテッテレー!

主人公は彼女が俺が探し出してみせる!と意気込み、彼女の日記を読もうとします。彼は読むのは図書館を利用するお客様のためであって、この日記の持ち主が女だからではない、あくまでこれは彼女を探すためなどと自分に対し言い訳を始めます。冒険者が幕を引くと、そこには
振り子とチーズケーキの文字。

主人公は自宅に日記を持ち帰り、読み始めると、上手の扉から花柄スーツの男(賢太郎さん)が登場。これはびっくりしましたね。派手なスーツが良くお似合いでした。ちょっとパーマもかけてらしたのかな。色男な感じでした♪この花柄の男も主人公自身です。主人公が日記を読み、空想することによって現れた理想の自分です。

彼女の日記は1月1日から始まり、12月26日で終わっています。そこには彼女が訪れた国で食べたもの、出会った素敵な男性のことが書かれていました。ハワイ、韓国…最後はブラジル。

情熱的なスペイン人。紳士的なイギリス人。厳格なドイツ人。神秘的なインド人。正義感の強いアメリカ人。積極的なイタリア人。陽気なメキシコ人…彼女の日記に書かれている理想の男性に次々となっていく花柄。賢太郎さんこういうの得意ですよね〜(o^^o)♪

世界中を旅している彼女の正体について、主人公は日記に書かれていることならなんでも知ってる花柄と推理し始めます。
グルメライターでは?→彼女は文章が下手なんだよ。感想が「おいしかった」とか「甘かった」だけなので違うのではないか、と主人公は言います。ハワイのブルーハワイについては青かったと書いていると花柄は言い、おもむろに坂を両腕を水平に伸ばした状態で登り、重々しく「かの英雄ガガーリンはこう言った、地球は青かった…。」と言います。
最後のブラジルでは固有名詞ばかりが並んでいます。謎の単語カイピリーニャ。そんな中で何故かコーヒーの味の描写だけは詳しく書かれています。
推理の途中で、主人公は冷蔵庫を空けてロールケーキをそのまま恵方巻のように食べ始めます。冷蔵庫の中は限界までコンビニになっていました。冷蔵庫で冷やせば雑誌の情報の鮮度が落ちない。アメリカンジョーク!

旅行会社の人では?→有名な観光地のことを一切書いてないし、値段も書いてない。客のことを考えてないので違う。

スパイでは?→このベンチで日記の受け渡しをしていたのでは?しかしトムクルーズ的な人が居たら目立ってしまう。日本人になりすましていたのでは?いや、男が女になりすましていたのでは?男が女になりすまして書いたのは「土佐日記」。「土佐日記」で55日間の旅を綴ったのが紀貫之で、「80日間世界一周」を書いたのがジュール・ヴェルヌ。彼女は紀貫之で、ジュール・ヴェルヌに日記を渡そうとしていたんだ!という感じで、とんでもない方向に想像は飛躍。

<続く>