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ねずみの三銃士~「万獣こわい」①

「万獣こわい」を観に行ってきました。観に行こうか迷ったんですけど、行って正解でした。大当たり。まだ沖縄公演が残っているのですが、レポを書き上げてしまったので公開します。
ネタバレしてますので、未見の方はご注意ください。

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冒頭で「饅頭こわい」を演じる噺家の小松亭う〇こ…もとい、小松亭右近(小松和重さん)。弟子のゾンビ、狼男、ジャミラに扮するのはねずみの三銃士。ジャミラの池田さんは「空席がこわ~い!」と空席をバシバシ連打(笑)ああ、どこまでがアドリブなのか分からない。右近師匠は稽古をつけていたモンスター達にいじられ、最後には食べられてしまいます。
三銃士がテーマ曲を歌った後に本編が始まります。

♪ね・ね・ねず~みのさん~じゅ~し~

舞台は上下二つに分かれていて、一階は古びた喫茶店と拘置所の受付、二階はマンション、裁判所として使われていました。

脱サラして古い喫茶店「どんづまり」を新たに「サニーズカフェ」としてオープンさせる予定のマスターの町田(生瀬勝久さん)と妻の陽子(小池栄子さん)。オープン前日のハロウィンの日、怯えた様子で店に飛び込んできた少女トキヨ(夏帆さん)。彼女はヤマザキという男に近所のマンションに監禁されていて、逃げてきたのです。家族はハロウィンの夜に一人ずつ殺されてしまいました。結局彼女は警察に引き渡され、ヤマザキは逮捕されました。

それから7年後。店にはろくに注文もせずに店の電気を使う埜呂(池田成志さん)が入り浸っています。彼は初めのうちは電気を使う前にはマスターに遠慮がちに許可を求めていたのです。しかし、マスターが忙しい時に簡単に許可を出してしまったことがきっかけで、当たり前のように電気を使うようになってしまいました。このエピソードが後に起こる事件を象徴していると思いました。

マスターと陽子は社内不倫の末に結婚。陽子はなかなか子供を授かれないことに焦りを感じています。妊娠した時のためにアルバイト募集の張り紙を貼ったけれど、アルバイトを雇えるのはいつになることやら。店はアルバイトを雇えるほど儲かってはいません。養育費の10万円も、実際には前妻の弟である馬場のぶ夫(小松さん)がマスターの代わりに出しているのです。

そんな時にトキヨが再びやって来ました。トキヨは親戚を転々とした後アヤセ(古田新太さん)という男の養子になり、今は保険会社でOLとして働いています。彼女は7年前に匿ってもらったお礼にこの店で働きたいと申し出ます。マスター夫妻は給料を払えないしOLの仕事を優先して欲しいと断るも、結局彼女に押し切られる形になりました。

トキヨが看板娘になってから店は繁盛するようになりました。ある日、年老いた男がやってきます。人当たりの良いその男は、携帯からアンパンマンのマーチが流れ始めると豹変。注文したアイスコーヒーが全然来ないことにブチギレて、大暴れします。音楽が鳴り止むと怒りはおさまり、ロールケーキを女子高生のような仕草でぱくり(可愛い)。

再びアンパンマンが流れると、男はアイスコーヒーが甘いとブチギレます。そこへ買い物から帰ってきたトキヨが現れます。男を見た途端今までの儚げで可憐な女の子から一変。ドスの利いた声で男を罵倒して暴力を振るい、馬乗りになります。男の食べていたロールケーキは投げ捨てられてしまいます。なんと、この男こそトキヨの養父、アヤセでした。

トキヨが手伝いに来る日に限ってレジのお金が足りなくなるので、陽子はトキヨを疑い始めます。そこでマスターにこのことを相談すると、マスターは「たとえ盗んでいたとしても俺はトキヨちゃんをかばう」と主張します。

実はアヤセがアイスコーヒーを待っている間、二人はこのことで揉めていたのです。アヤセはこの会話を録音しており、それをトキヨに聞かせてしまいます。トキヨはショックを受け、店の奥に引っ込みます。

その後、またまたアンパンマンが流れます。この曲がこんなに不吉なものになるとは…。トキヨからの電話を聞いたアヤセは、トキヨを疑った陽子に落とし前を付けることを求めます。トキヨの希望は陽子が目にタバスコを入れられ背中をねぎでしばかれること。そんなことはできないので、マスターがお金の再計算をすることに。彼は3万円は足りていると嘘を付き、その結果、陽子はネギでしばかれてしまいます。事を穏便に済ませるため、トキヨが可哀想な子だと信じたいがために、マスターは嘘をついたのでしょう。今考えると、トキヨとアヤセはマスター夫妻にねちねちと文句をつけるために罠を張ってたんだな。恐ろしや(((;゚Д゚))

~ここで一旦休憩が入り、第二幕~

怪しい客、埜呂の正体はフリーライター。彼は死刑囚ヤマザキの取材をするため拘置所に来ました。受付の窓口が4つあるのですが、囚人と面会するための手続きが複雑すぎます。早口言葉のような案内のセリフを一人だけ手抜きする受付のおばちゃん(生瀬さん)に埜呂からツッコミが入ります(笑)

トキヨのマスターに対する呼び方は「マスター」から「ヘイタクシー」などの寄り道を経て「ジジイ」へと格下げ。彼女は喫茶店の中の女王として君臨します。

トキヨはマスター夫妻にお互いへの不満を言えと命令します。陽子は夫が前妻へ養育費を払い続けていることへの不満を口にします。マスターは「ない!」と言い切っていましたが、しぶしぶ告白を始めます。内容は次のような感じ。

妻が子作りに必死なのだけれど、50を超えている体には正直しんどい。
妻の行為がスポーツのようで情緒がないのもちょっと…。

…うわ~人前でそんなデリケートなことを…。

マスターがうっかり家族のあり方について話すとトキヨは傷つき、落とし前としてマスターに娘との縁を切るよう要求します。マスターは娘に電話を掛けます。娘の冷たい態度に長年鬱積していたものが爆発したのか、娘のことを「ブス」と言い、養育費は送らない、縁を切ると捨て台詞を吐いてしまいます。これでタガが外れてしまったのか、彼はますますトキヨの肩を持つようになります。

トキヨはミーティングを開き、週ごとにランキングを付けるようになりました。ランキングで最下位だった者は落とし前を付けなければなりません。手を下すのは、トキヨではなくターゲット以外の人たちです。自分で判断させ行わせる形を取ることで加害者意識を植え付け、逃れられなくしているのです。彼女のやり口はは自分を虐待したヤマザキと全く同じです。

トキヨの支配下にあるのはアヤセ、マスター夫妻、馬場、そして埜呂。埜呂はヤマザキのことを記事にするため、ずっと喫茶店での会話を無関心なふりをして聞いていました。それをアヤセに知られ、パソコンのデータを破壊されてしまったのです。

午前4時からのものまね王座決定戦。アヤセは佐村河内のものまね。なんと言っても陽子の長州力が最高でした。似てるかどうかは分からないけど、あの思い切りの良さは素晴らしい。

トキヨによる支配が続く中で妊娠した陽子は、トキヨの支配下から逃れるために警察官の馬場と手を組みます。彼女はお腹の子のために夫に犯罪者になって欲しくなくて、今まで逃げ出せなかったと話します。自ら手を下していないトキヨをどうすれば犯人にすることができるのか。

考えた結果、馬場が警察を退職したことにして喫茶店でパーティを開き、酔っ払っているアヤセに手を出させて逮捕させ、取り調べで余罪を白状させることに決定。喫茶店の外には警察官を待機させ、窓越しのタコ踊りを合図に突入するように話はつけてあるはずでした。

しかし、計画は失敗。馬場は本当に警察を辞めていたのです。上司に自分たちのことを話したのに取り合ってもらえず、激怒して辞めてしまったとのこと。当然外に警察官は待機していません。トキヨたちににもこの計画は知られてしまい、おまけにトキヨは陽子の妊娠に気づいていました。馬場は落とし前としてアヤセに通電され過ぎて死んでしまいます。

どうして上司は馬場の話を信じてくれなかったんでしょうね。元々信頼関係を築けていなかったのか、それともトキヨに支配されるようになってから馬場の精神がおかしくなり、上司に信用されなくなったのか。それとも上司が事なかれ主義だったのか。

馬場が死んだことを知ったトキヨはテキパキと準備し、手下に命令しながら手際よく死体の処理を始めます。トキヨは一緒に監禁されていたスウェーデン人、メリンダ(池田さん)のことを思い出します。そこから、スウェーデンの音楽グループABBAの替え歌でダンスを交えながら陽気に処理は進行していきます。このシーン、ポップだけどものすごくグロいんですよ。ああ、笑っていいのかしらと躊躇していたのに、お腹から国旗が出てくるとこらえきれず笑ってしまいました。笑うことで楽になりたかったのかな。あれを自分のことのように見ていたらとても耐えられなかったと思います。笑っている間に脳の奥がジリジリと焼けて感覚が麻痺していくのを感じました。


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